現在、現役で作業療法士をしている方で、給料や年収が他の職種と比べて高いのか低いのか気になっている方が多いですよね?
1ヵ月間、しんどい思いをしながら働いても、他職種より給料が低いとガッカリします。
「職種によって給料が違うのは当たり前」と、割り切れればいいですが、そう簡単に気持ちの整理はできません。
ハッキリ言って、作業療法士の給料は低いです!!
今回、作業療法士の給料・年収について調べてみましたので、参考にしてください。
作業療法士の給料・年収・ボーナスはどのくらい?
2018年度(平成30年度)における厚生労働省の賃金構造基本統計調査による、作業療法士の平均月収・平均年収を記載しています。
医療系他職種も同様に記載していますので、比較してみてください。
男女別の給料・年収・ボーナス
(男女計)
平均月収 |
平均年収 |
ボーナス | 平均年齢 |
勤続年数 |
|
作業療法士 |
285,200円 |
4,084,600円 | 662,200円 | 32.9歳 |
6.1年 |
薬剤師 |
379,900円 |
5,435,900円 | 877,100円 | 38.6歳 |
7.6年 |
看護師 |
331,900円 |
4,799,300円 | 816,500円 | 39.3歳 |
8.2年 |
診療放射線技師 |
348,600円 |
5,129,900円 | 946,700円 | 38.5歳 |
10.6年 |
臨床検査技師 |
319,900円 |
4,735,300円 | 896,500円 | 39.7歳 |
11.3年 |
(男性)
平均月収 |
平均年収 | ボーナス | 平均年齢 |
勤続年数 |
|
作業療法士 |
292,300円 |
4,170,300円 | 662,700円 | 32.8歳 | 5.8年 |
薬剤師 |
405,700円 | 5,751,700円 | 883,300円 | 38.0歳 |
7.5年 |
看護師 |
341,300円 |
4,924,200円 | 828,600円 | 36.9歳 | 7.6年 |
診療放射線技師 |
364,700円 | 5,371,400円 | 995,000円 | 40.4歳 |
11.7年 |
臨床検査技師 |
348,600円 | 5,155,200円 | 972,000円 | 40.2歳 |
11.9年 |
(女性)
平均月収 |
平均年収 | ボーナス | 平均年齢 | 勤続年数 | |
作業療法士 |
277,300円 |
3,989,200円 | 661,600円 | 33.0歳 |
6.3年 |
薬剤師 |
364,400円 |
5,246,200円 | 873,400円 | 39.0歳 |
7.7年 |
看護師 |
330,800円 |
4,784,700円 | 815,100円 | 39.6歳 |
8.3年 |
診療放射線技師 |
310,200円 |
4,554,500円 | 832,100円 | 34.0歳 |
8.0年 |
臨床検査技師 |
307,100円 | 4,547,800円 | 862,600円 | 39.4歳 |
11.0年 |
作業療法士の給料・年収、ボーナスは、他職種よりも低いことがわかります。
男女間での差は、他職種と比べて少ないです。
作業療法士は平均年齢が低いことが特徴となっていますので、次に、年齢別で見てみたいと思います。
年齢別、男女別の給料・年収
(男性・年齢階級)
平均月収 | 平均年収 | ボーナス | |
20~24歳 | 245,700円 | 3,238,200円 | 289,800円 |
25~29歳 | 266,800円 | 3,846,100円 | 644,500円 |
30~34歳 | 301,200円 | 4,302,000円 | 687,600円 |
35~39歳 | 307,700円 | 4,474,800円 | 782,400円 |
40~44歳 | 338,800円 | 4,965,700円 | 900,100円 |
45~49歳 | 352,000円 | 4,991,400円 | 767,400円 |
50~54歳 | 387,100円 | 5,728,900円 | 1,083,700円 |
55~59歳 | 360,100円 | 5,431,400円 | 1,110,200円 |
60~64歳 | 298,400円 | 4,127,700円 | 546,900円 |
(女性・年齢階級)
平均月収 | 平均年収 | ボーナス | |
20~24歳 | 248,600円 | 3,536,000円 | 552,800円 |
25~29歳 | 261,700円 | 3,755,500円 | 615,100円 |
30~34歳 | 269,800円 | 3,866,300円 | 628,700円 |
35~39歳 | 284,000円 | 4,068,000円 | 660,000円 |
40~44歳 | 314,000円 | 4,578,900円 | 810,900円 |
45~49歳 | 321,700円 | 4,658,600円 | 798,200円 |
50~54歳 | 344,400円 | 5,086,900円 | 954,100円 |
55~59歳 | 380,100円 | 5,888,100円 | 1,326,900円 |
60~64歳 | 319,900円 | 4,216,900円 | 378,100円 |
作業療法士の給料・年収は、年齢が上がるとともに上昇しています。
ボーナスが少ないことがよくわかりますので、ボーナスをあてにした大きな買い物は、なるべく避けた方は良いです。
施設別に見る作業療法士の給料・年収
作業療法士は幅広い分野で働いています。
働いている施設(分野)においてでも、給料・年収は違ってきます。
・福祉施設勤務
障害者福祉施設や児童福祉施設などの福祉施設に勤務する作業療法士の給料は、年収250万円~400万円前後となっており、介護施設や医療施設よりも少ないです。
福祉業界の目的は営利ではありませんし、国や自治体から得られる補助金も決して十分ではないです。
施設が利益を上げていくためには、どうしてもスタッフの給料は低くなります。
しかし、仕事には大きな社会的意義がありますし、体力的負担は軽めのため、メリットは複数あります 。
・介護施設勤務
介護施設勤務の作業療法士の給料は、全体的に高水準であり、施設によっては非役職者のままで年収500万円くらいになることもあります。
介護施設は仕事がつらい、厳しいといったイメージがあり、慢性的に人が足りていない状況になっていますので、人を集めるために待遇面を良くしている施設が多いです。
特に訪問リハビリテーション事業所や訪問介護ステーションなどは、体力的な負担が大きいですが、特に高待遇となっているため、収入面を重視する人にとってはオススメです。
・医療施設勤務
クリニックや病院などの医療施設は、作業療法士の就職先として最も人気であり、作業療法士協会の統計によると、休職者を除いた全体の約7割が勤務しています。
このため、医療施設で働く作業療法士の給料は、職業全体の平均とほぼ同じ年収350万円~450万円となっています。
ただ、部長などの管理職に昇進すると、大きく昇給して年収600万円~700万円ほどに達する方もいます。
作業療法士の給料・年収の特徴
作業療法士の給料・年収には、他職種とは違った特徴があります。
・月給とボーナスの割合にばらつきがある
作業療法士の給料の大きな特徴として、勤務先によって給料とボーナスの割合が一定でないということが挙げられます。
例えば、介護施設の平均月収が医療施設よりかなり高いが、ボーナスが低かったり、あるいは全く支給されないという施設もあります。
このため、厚生労働省の統計にある「作業療法士のボーナスは月収の約2ヶ月分」というのは、あくまで目安にすぎないということになります。
各勤務先の収入を比較する際は、月収ベースではなく、年収ベースで計算した方が正確です。
・昇給率が低い
作業療法士の給料は、だいたい年一回昇給し、勤続年数に応じて毎年給料はアップしますが、その上昇幅がかなり小さいという点が特徴的です。
40代と働き盛りの年齢になっても、平均年収は500万円台に届いておらず、この給料の伸びの悪さが職業全体の平均年収を大きく下げています。
年収を上げるためには、作業療法士としてのスキルレベルの向上だけでなく、リーダーシップや指導力なども養って、役職者への昇進を目指す必要があります。
給料を上げたい方は、【作業療法士必見】月収アップする5つの方法とは?の記事も見てください。
・残業代の占める割合が少ない
作業療法士は、医師や看護師などの他の医療従事者とは違って、急患に対応することはほぼなく、定められたスケジュールに従って、各患者へのリハビリを行います。
このため、職場によって違いはありますが、作業療法士が残業する機会は、かなり少ないです。
残業が少ないことは、日々の生活リズムが整いやすく、プライベートも充実させやすいため、メリットとも言えますが、経済的に見れば、残業代がほぼ支給されないというデメリットとなります。
夜勤などもありませんので、看護師よりも作業療法士の方が収入面で劣ります。
なお、勤務時間後には勉強会やカンファレンスなどを行う場合も多いですが、そうした業務が残業とみなされるかどうかも施設によって異なりますので、就職前に確認しておくべきです。
・福利厚生の特徴
作業療法士の福利厚生は、医療施設を中心として、資格手当や通勤手当、住居手当、扶養手当などの各種制度が整っている場合が多いです。
また、看護師をはじめ、医療従事者の中には女性が多く、家事や子育てに対して理解のある職場が多く、出産休暇や育児休暇なども取得しやすく、サポート体制も充実しています。
こうした傾向は国立や公立の病院ほど強く、なかには施設内に職員専用の保育所を設置しているところもあります。
公的機関は、民間より給料が低いケースも多いですが、福利厚生面まで含めて総合的な待遇を考えると、民間施設と公立施設どちらが恵まれているかは人によって違います。
就職先を決めるのは、様々な諸条件をしっかりと吟味することが大切です。