作業療法士になったきっかけ

作業療法士の仕事内容は、一般的にまだまだ知られていない職種だと思います。
その一方で、すでに作業療法士として働いている方や、作業療法士を目指して大学や専門学校に通って勉強に励んでいる方が多くいます。

その方たちの作業療法士を目指したきっかっけは、人によってさまざまです。しかし、同僚や部下に聞いたり、就職面接時(管理職のため面接官をしてました)に聞いたりしましたが、「自分や家族が、ケガや病気によりリハビリを受けたときの、セラピストの対応が良かったから」「家族に看護師などの医療従事者がいて、すすめられたから」「社会人を経験して、改めて手に職をつけたいと思ったから」が多かったです。

この記事を読んでいる人は、ただ単に作業療法士を目指したきっかけが知りたいのではなくて、先輩方のきっかけを確認して、「自分のきっかけで、作業療法士が務まるのか」といった悩みや不安を解消したいのではないのでしょうか?

その様な悩みや不安は抱え込まなくて大丈夫です。
先輩方のきっかけもあなたと変わりありません。
要は、頑張ろうとするあなたの気持ち次第です。

参考までに、先輩作業療法士の方のきっかけを載せましたので、一読してください。




作業療法士を目指したきっかけは?~ぼくの場合~

車椅子

まずは、ぼくの作業療法士を目指したきっかけを伝えます。

ぼくのきっかけは、子供の影響です。
子供は上肢・下肢の運動機能障害があり、日常生活全介助、移動も車椅子全介助の状態です。

その子供が小学校に入学するときに、特別支援学校に入学させるかどうか悩みました。そのときに、「自分は子供の障害のことをまったく理解していない」「今の自分では子供の将来のこともイメージできない」「子供に対してどんな支援が必要なのかわからない」など思い、「親として情けない」という気持ちでいっぱいになりました。

その時に、「自分は子供の将来のために、子供の障害に対して勉強をしなければいけない」「逆に、その分野を仕事にすればいい」と思い、機械設計の仕事をしていましたが辞めました。
子供が発達障害領域でのリハビリを受けていたこともあり、理学療法士・作業療法士の職種は知っていました。
子供の将来的には成長も止まるので、身体機能面よりも日常生活に重きを置いた方が子供には役立つと思い、作業療法士を選択しました。

これが、ぼくの作業療法士になったきっかけです。是非、参考にしてください。

作業療法士を目指したきっかけは?~先輩方の場合~

作業療法士が人差し指を立てている

次は、先輩方の作業療法士を目指したきっかけを確認しましょう。
さまざまなきっかけがあり、参考になると思います。

作業療法士を目指したきっかけは『自分や家族がお世話になったから』

男性作業療法士

高校1年の時、右肘を骨折しました。
その時は右肘の曲げ伸ばしが難しく、右利きの自分は不便な思いをしながら少しイライラしていました。

その時にリハビリでお世話になったのが作業療法士で、いつも笑顔で明るく接してくれたおかげで前向きにリハビリができ、右肘も動くようになりました。

これがきっかけで、作業療法士という職種を知り、憧れるようになりました。

女性作業療法士

中学生の時に祖母が倒れ、医者からは「動くことはできない」と告げられました。

しかし、リハビリを継続した結果、今では日常生活は問題なく自立しています。その時にリハビリをしていただいたおかげで祖母に笑顔が戻り、私たち家族も精神的に救われました。

そのときに、私も誰かの支えになれる職業に就きたいと考えるようになりました。

国家資格を有する作業療法士は、医学的な知識を持ち、障害を問わず日常生活に支援が必要なすべての人に対して身体面だけではなく、精神面のサポートも出来ることに魅力を感じました。

作業療法士の中には、過去に自分や家族がケガや病気をしたとき、一緒にリハビリに取り組んでくれたセラピストへの感謝の気持ちやあこがれが、作業療法士という仕事につながったという人も多いです。自分が元気にしてもらったように、「誰かを元気にすること」が今の仕事のモチベーションになっています。

作業療法士を目指したきっかけは『人助けがしたいという思いから』

男性作業療法士

「作業療法士」という職業は、高校2年の職場体験で知りました。
そこで半身マヒの服の着脱を体験しましたが、なかなか上手くいかず、指導していただきました。

この時、「実際に日常生活で不自由を感じている方の助けになりたい」と思ったのが、作業療法士を選んだきっかけです。

女性作業療法士

作業療法士を目指したのは、兄(理学療法士)の勤務先を見学する機会があり、「人の役に立てる仕事をしたい」となんとなく思ったのがきっかけでした。
精神科領域にも興味があったので、作業療法士に決めました。

作業療法士は、「仕事の幅が広く、自分の考え方しだいでさまざまなアプローチができる」ことが魅力の一つであり、それが「人助け」につながります。

作業療法士を目指したきっかけは『日常的な活動が人助けになるから』

男性作業療法士

小学校の老人ホーム見学で、スタッフが援助していた間の利用者の笑顔を見た時、「困っている人を助けたい」「自分も人を笑顔にしたい」と思い、リハビリ系に興味を持ち始めました。

中学・高校時代には、精神的に悩んでいる友人がいましたが、うまく支えられず、どうにかして助けられないかと考えていた時、『作業療法』には心のリハビリがあると知りました。

「活動や道具を使って、楽しみながら、心も体も治療ができる。これで、困っている人も助けられる」と思ったことがきっかけで、作業療法士を目指しました。

女性作業療法士

中学生の頃、車椅子バスケットの試合を見に行ったときの昼食時に、手指や下肢にマヒがある人が、自助具を使って上手に食事をしている場面を見ました。
その方に声をかけると、私の知らないリハビリのことをいろいろと教えてくれました。
それが、作業療法士を知るきっかけです。

「日常生活も何もかも、身体が動かなくなってできなくなったけど、作業療法士と食事や着替え、車の運転の練習をして、今は大好きなバスケットボールができるようになった」と言われた。

作業療法士は障害者の生活に関わり、将来の可能性を広げることができるところが良いなと思い、この職業に決めました。

作業療法士は特別なことをするわけでもなく、食事をする、服を着る、塗り絵をするといった日常的な行為を応用しながら、対象者と楽しく実施することで、身体・精神の回復を目指しています。
それが、「人助け」につながります。

社会人から作業療法士を目指したきっかけ

男性作業療法士

エンジニアの仕事をしていましたが、パソコンと向き合うよりも人と接することができる仕事をしたいと思うようになりました。

高齢者が増加していることもあり、人の役に立てる福祉系の仕事に興味を持ちました。

あるマンガを読んでいると、リハビリという仕事のことが書かれてあり、「この仕事は凄い」と感じたことから作業療法士になろうと思いました。

女性作業療法士

小学校の特別支援学級で教員をしていました。
しかし、肢体不自由な子どもに対して、もっとできる支援・援助があるのではないかと考えていました。

子どもの身体や精神は成長するものであり、その成長段階に沿ったリハビリを提供すれば、子どもたちも社会への関わりが増えるのではないかと思い、作業療法士になることを決めました。

作業療法士に高校から目指している方も、社会人からめざしている方も、原点は「人の役に立ちたい」「人助けがしたい」ということがよく解ると思います。